保険選び方の基礎・最低ポイント

 保険選び方の最低ポイントを考えてみます。




保障したいリスクを考える
 どういうリスクを保険で保障したいのか?これを考えることがまずは手始めです。
 簡単な例で自動車保険を挙げましょう。対人、対物、搭乗者傷害、自損事故の保険は付けるとして、さらに車両保険も付けるかどうか?車両保険とは、事故によるクルマの損傷の修理代などが出る保険。たとえば、
・こちらにも過失がある場合の事故で、修理代負担が必要な場合
・当て逃げによるクルマ損傷
・単独事故によるクルマ損傷
・車の盗難
などの際に車両保険を掛けておくと保険金がおります。(車両保険にもいくつか種類があり、カバーできるのは各々の車両保険で異なります。)

 当たり前ですが、車両保険を付けると保険料が高くなります。とても高い車で、事故の修理代が馬鹿高くつく場合や人気車種で盗難が怖ければ、入っておいたほうが良いでしょう。でも、車にはそんなにこだわらない、安いから多少の損傷はいいや、と考えれば保険料を安くするために車両保険を付けないのも賢い選択だと思います。

保障したい期間を考える
 自動車保険であればほとんどの場合1年毎の更新ですので、保障期間を考える必要はありませんが、生命保険では保障期間の考慮は大事になります。
 子供が居られ生命保険への加入を考えるのであれば、末っ子が働き出すまでは養育費がかかるでしょうから、最低限はそれまでの間、死亡保障が続くように保険期間を設定する必要があるでしょう。また、養老保険や個人年金保険で自分の老後の生活資金を生命保険に求めるのであれば、ご自分が引退する年齢から保険期間を計算することになるでしょう。

必要保障額から逆算する
 生命保険の加入を考える場合は、死亡保障については、死亡に備えるための必要保障額から考えると分かりやすいです。必要保障額とは、文字通り万が一のリスクが発生した場合に必要となる資金のこと。例えば、まだお子さんが小さい、3人家庭で奥さんが専業主婦の場合、一家の稼ぎ主である旦那様が死亡した場合に必要となる、奥さんと子供さんの生活資金、子供の教育費、その他諸々の資金のこと。
 この必要保障額の計算は、シミュレーションで求めることができます。

・必要保障額シミュレーション >> https://www.jili.or.jp/sim/s1.html

 また入院給付の必要保障額については、会社員・勤め人の場合は、入院給付一日当たり5000円〜1万円、自営業の人は1万円〜1万5000円くらいが目安のようです。自営業の場合、労災保険や会社からの手当てを頼りにできないため、より自己責任で保険を充実させる必要があるようです。

保険料と生活費との兼ね合い・妥協
 必要保障額の計算から保険料を逆算した場合、もしかすると保険料が高すぎるっ!ということがあるかもしれません。というか、そうなる場合も多いことでしょう。終身保険で予定したが、保険料が高すぎるので、定期保険、または定期付終身保険への変更を考えたり、必要保障額を削るという妥協も必要かもしれません。
 なにせ高すぎる保険料が家計を圧迫し、保険料を支払っていけないという状態になっては身も蓋もありません。保険料は、大体年収の5%くらいまでに抑えるのが良いようです。貯蓄性の高い保険の場合でも、10%くらいまでが目安のようです。(それでもわたくしには高いと思えるのですが...。)

保険会社を選ぶ・格付け、支払余力比率、財務力の評価
 保険加入者にとっては、潰れない保険会社を選ぶというのも重要な課題です。1997年の日産生命の破綻に始まり、2000年には多くの生命保険会社が破綻しました。生命保険会社が破綻するとどうなるのか?生保が破綻しても、保険契約者には一定の保護はあるのですが、次の恐れが生じます。

1.責任準備金(保険会社が積み立てる保険金支払のための積立金)が減額
2.予定利率の引き下げ
3.早期解約による解約返戻金の減額

1により、死亡保険金や入院給付金が削減されてしまいます。
2の予定利率引下げにより、死亡保険金や満期返戻金、年金が加入時の契約よりも削減されます。予定利率の高いときに加入した養老保険、終身保険など貯蓄性の高い生命保険は大きく削減され大打撃を受けます。
3により、破綻後一定期間に解約すると解約返戻金を減額されます。一斉解約による資金流出を防ぐためのしくみです。(これが無いと銀行の取り付け騒ぎのような事態が起こる。)

 では、破綻しない保険会社を選ぶには、どうすれば良いのか?保険会社を選ぶ際には、一応の指標となりうるものがあります。

格付け
 保険会社は、格付け会社、格付け機関により、一社一社格付けされています。格付け(Rating)とは、債務を履行する確実性、財務力の安全性をAAAなどとアルファベット表記した指標です。有力な格付け会社であるスタンダード&プアーズ(米国)の、保険会社の保険財務力の格付けの種類と定義を見てみましょう。

スタンダード&プアーズ 保険会社格付けの種類と定義
格付けの
種類
格付けの定義
AAA 保険財務力が極めて強い。スタンダード&プアーズの最上級の格付け。
AA 保険財務力が非常に強い。最上位の格付け(「AAA」)との差は小さい。
A 強い保険財務力を有するが、上位2つの格付けに比べ、事業環境が悪化した場合、その影響をいくぶん受けやすい。
BBB 保険財務力は良いが、上位の格付けに比べ、事業環境が悪化した場合、その影響を受けやすい。
※「BB」以下に格付けされる保険会社は、強みを上回る不安定要因を有する可能性があるとみなされる。「BB」はこのグループで不安定性が最も低いことを示し、「CC」は最も高いことを示す。
BB 保険財務力が限界的である。プラス要因もあるが、事業環境が悪化した場合、債務を履行する能力が不十分になる可能性がある。
B 保険財務力が弱い。事業環境が悪化した場合、債務を履行する能力が損なわれる可能性がある。
CCC 保険財務力が非常に弱い。債務の履行は良好な事業環境に依存している。
CC 保険財務力が極めて弱い。債務をすべては履行できない可能性がある。
R 債務履行能力に関して規制当局の監督下にある。「R」は、違反行為など、財務上の問題と関係のない事柄によってのみ付されることはない。
NR 格付けがなく、保険財務力に関する意見を当社は持たないことを示す。


支払余力比率(ソルベンシー・マージン比率)
 ソルベンシーマージンとは支払余力という意味。舌、噛みそうな言葉ですね。保険会社は、将来の保険金などの支払いに備えて責任準備金を積み立てているので、通常予想できる範囲のリスクについては十分な対応を準備しています。
 しかし、環境の変化、経済状況の変化などによって予想もしない出来事(大震災、戦争、株大暴落など)が起こる場合があります。ソルベンシ−・マージン比率とは、大震災、株の大暴落など、通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる「支払余力」があるかどうかを判断するための行政監督上の指標のひとつです。
 ソルベンシーマージン比率は、200%を上回っていれば、安定的な経営を維持する上でのひとつの基準を満たしていることを示します。(ほとんどの保険会社は、200%を軽く上回っており、あまりこの基準は意味が無いように感じます。)

----------------------------計算式-------------------------------------

ソルベンシーマージン比率(%)=ソルベンシーマージン総額÷(リスクの合計額÷2)×100

■ソルベンシー・マージン総額=下記の項目の合計額
資本の部合計、価格変動準備金、危険準備金、一般貸倒引当金、その他有価証券の評価差額×90%(※)、土地の含み損益×85%(マイナスの場合100%)、負債性資本調達手段等、控除項目、その他

■リスクの合計額={√R1の2乗+(R2+R3)の2乗}+R4
保険リスク、予定利率リスク、資産運用リスク、経営管理リスクなど通常予想できる範囲を超える諸リスクを数値化して算出します。 

・保険リスク相当額(R1)=大災害の発生などにより保険金支払いが急増するリスク相当額 
・予定利率リスク相当額(R2)=運用環境の悪化により、資産運用利回りが予定利率を下回るリスク相当額 
・資産運用リスク相当額(R3)=株価暴落・為替相場の激変などにより資産価値が大幅に下落するリスク、および貸付先企業の倒産などにより貸倒れが急増するリスク相当額 
・経営管理リスク相当額(R4)=業務の運営上通常の予想を超えて発生し得るリスク相当額
 
----------------------------------------------------------------------

 一応計算式とその中身を書きましたが、ほとんど意味不明です(笑い)。簡単にまとめると、支払余力のための保険会社のお金の額が大きくなるとソルベンシー・マージン比率は上昇。または、事業運営上、資金運用上、資産内容のリスクににさらされるお金の額が小さくなると、ソルベンシーマージン比率は上昇するということが、この計算式から伺えます。

 同じような保険商品での契約で、複数社で迷ったときに、格付け情報やソルベンシー・マージン比率の指標を参考にし、優れたところを選ぶという使い方もできるでしょう。それらの指標が悪い保険会社は、最初から候補からはずすという使い方もできると思います。



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